音読で長文読解を攻略するとっておきの方法を解説します。
ズバリ、長文を音読するというシンプルな攻略法です。
長文読解は、これまで基本問題ばかり解いてきて、慣れていないとかなりのハードルです。
空らん埋めや、並びかえ、学校のテストがなんとかうまくいっていても、TOEICや受験問題のように長文だらけになると「なんだこりゃ……」とまったく理解できなくなってしまうかもしれません。
学校のテストのためだけに英語を勉強してきた人はもちろん、英語が得意な人でもこの長文のハードルが起こりやすいですね。
もしあなたも、長文読解で悩んでいるのであれば、「音読」という方法がおすすめです。
この記事では、長文を解くための音読について、かんたんに解説していきます。
長文読解がはかどらない理由
単語も熟語もたっぷり覚えているし、空らん埋めや、書きかえ問題や、和訳だってできる。
なのに長文になると、急に嫌気がさし、文章が読めなくなってしまうことってありませんか?
だんだんイライラして、長文の山をハチャメチャに破り散らしてやりたいときもあるでしょう。
理由は人それぞれいろいろあります。
- 単純に長い文章を読むことにアレルギーがある
- 単語はわかるけど言っている意味がわからない(行間が読めない)
- 一文ずつ訳そうとして時間がなくなる
- 途中でつまづいてずっと悩んでしまう
- etc…
このうちどれかが当てはまるかもしれませんし、もしかしたら全部当てはまるかもしれません。
長文読解っていろいろなスキルが必要なので、ただ単語や文法がわかっているだけでは解けません。
解ける以前に、問題文を読むのがイヤになってくるからですね。
では、どうすれば長文に対して気楽に接することができるようになるのかというと、音読がひとつのコツなのです。
とことん音読することによって、上であげたような悩みポイントもだんだんと消えてなくなるはずですよ。
実際、僕自身も音読で長文に慣れることができましたし、長文大嫌いな中高生を教えていたとき、「長文いける!」のレベルに引き上げたきっかけが音読でした。
英語力アップのコツはいつも「音読」って言ってるような気がしますが、やっぱり音読です(笑)
「でも文章を読む問題なのに、なぜ音読?」
「わざわざ声に出す必要なんてあるの?」
と思われたかもしれないので、今から音読が効果的なワケを解説していきますね。
なぜ音読で長文が攻略できるのか
長文の苦手意識は、音読を何度もすることでだんだんと解消していくことができます。
その理由は、「言葉はまず耳から覚えている」からです。
ちょっと考えてみてください。
あなたが赤ちゃんで第一声を発したとき、その言葉はどこから覚えたと思いますか?
おそらく、大半の人は「耳」からではないでしょうか?
赤ちゃんの頃、お母さんや周りの人の言葉を聞いて、それをマネして最初の一言をしゃべったと思います。
生まれてからまず本を読み始めた、なんて子どもはよっぽどいないと思います(笑)
言葉というのは基本的に、耳から伝わる音の情報を、脳の中で意味に変換しています。
たとえば、日本語の長い文章を静かに読むときでも、頭の中で声を出していませんか?
読めない漢字があったりすると、ちょっと止まって、テキトーな音を当てて読み進めた経験はないでしょうか。
きっと、あなたも文章を読むときに、心の中で音読しているはずです。
ということは、文章を早く正確に理解するには、「心の中での音読がどれだけスムーズにできるか」がカギになります。
小学生のころ、国語の教科書をやたら音読させられるのはこのためです。音読で難しい文章を読むことで、言葉に慣れていくわけですね。
(日本人だから、日本語は自然にしゃべれるようになった…と思うかもしれませんが、実は小学校時代の音読がものすごく役に立ってます!)
ちなみに、心の中の音読をせず、写真のように目だけで文字を追っていけるようになると、いわゆる「速読」ができます。
英語の長文読解でも、最終的にはこのレベルまでできると、より早く文章が読めるようになります。
が、まずは心の中で声を出し、それを脳に送ることで、長文に読み慣れることから始めてみてください。
長文を読むためには、その文章を心の中でスムーズに音読することが大切です。
そうすることで、脳内で情報を処理する作業がスムーズになってくるんですね。
そしてもちろん、心の中でスムーズに音読するためには、実際に声に出して練習する必要があります。
なので、「音読」のトレーニングが、長文読解に効果を発揮するわけです。
実際に音読していると、そもそも読むのが早くなったり、読むことに苦痛を感じなくなってきます。
むしろそれが、音読の一番いいところかもしれません。
声に出して読めるようになれば、少なくとも「読む気がわいてくる」からです。
アラビア語みたいに文字が記号にしか見えないと、もはや言葉として考えられないですよね(笑)
いきなりそれを読んで問題を解けと言われても、まったくやる気が出ないと思います。
逆に声に出して読めるレベルであれば、少なくとも文字として読み進めることができることになります。
それがだんだんとスムーズになってきて、頭の中で意味もつながります。
意味がつながれば、問題もスラスラ解けるようになるわけですね。
長文を音読練習する方法
では、具体的に音読で長文読解をマスターする方法を紹介します。
僕のオススメ手順は以下のステップです。
- 長文問題をふつうに解く
- 答え合わせをするときに、解説をしっかり読む
- わからない単語や熟語をすべて調べる(発音も)
- 文の構造や文法をチェックする
- わからない部分は先生か、英語ができる人に聞く
- つまり、完ぺきにその長文を理解してから、音読スタート
- 最初は自分のペースでゆっくり読む
- それをだんだん早くしていく
- 早口言葉レベルでスラスラ言えるまでがんばる
- 最低でも10回以上、できれば30回以上は繰り返し音読する
1.長文問題をふつうに解く
まずは何かひとつ長文問題を選んで、ふつうに解いてみてください。
特に深く考えず、いつもどおりやってみましょう。
2.答え合わせをするときに、解説をじっくり読む
問題を解き終えたら、答え合わせに時間をかけてください。
このとき、解説をじっくり読みましょう。
特に自分がわからなかったところや、間違えたところは入念にチェックします。
3.わからない単語や熟語をすべて調べる(発音も)
長文問題をひとつ解くと、わからない単語や熟語がたくさん出てくるはずです。
解説を読んでも載っていない単語などは、すべて辞書で調べましょう。
一字一句逃さず、すべてやってください。
このとき、発音も必ずチェックしましょう。
電子辞書やオンライン辞書で、発音ボタンを押して音を確認してください。
4.文の構造や文法をチェックする
これも単語や熟語と同じく、すべての英文で文法などをチェックしてください。
重要なものは解説に載っていると思います。
チェックというのは、たとえば “I am Ken, but I am not what I used to be.” のような文があったら、
- I am Ken は普通のbe 動詞
- what I used to be は「私がかつてそうだったもの」
- くっつけると、「私はKenだけど、かつての私じゃない」か…
という感じで、自分が理解できればOKです。
もし「what I used to be」がわからなけば、「whatは関係詞で、I used toはかつてで…」と順番に理解していくことになります。
解説に載っていなければ、文法書の例文を探るか、ネット検索で全文打ち込んでみると早いと思います。
和訳と照らし合わせてみて、なぜその訳になるのかを理解できるまでやりましょう。
5.わからない部分は先生か、英語ができる人に聞く
ここまで調べても解決できない場合は、人に聞いてしまうほうが早いです。
学校や塾の英語の先生に聞いてもいいですし、英語ができる友達を頼ってみてください。
それでも解決しなければ、このサイトのお問い合わせフォームから聞いてもらってもかまいません。
6.つまり、完ぺきにその長文を理解してから、音読スタート
いろいろと手順を書きましたが、つまり「その長文が完ぺきにわかる状態を作ってください」ということです。
これができて、初めて音読をスタートしていきます。
理解できないまま音読しても、効果は薄いです。
しっかり下準備に時間をかけて、どんどん音読していきましょう!
7.最初は自分のペースでゆっくり読む
ここからは音読のステップです。
まずは自分のペースでゆっくり音読してください。
8.それをだんだん早くしていく
2回目、3回目と進むにつれて、スピードを上げていきましょう。
単語同士をつなげたり、一息で言える文字数を増やしていくのがコツです。
9.早口言葉レベルでスラスラ言えるまでがんばる
だんだん早口言葉レベルになれるよう、練習してください。
きれいな英語とかは考えなくていいです。
ひたすら早く読む練習をしてみてください。
自分の言葉が宇宙語みたいに聞こえるくらいでOKです(笑)
そのくらいのスピードで読んでいるにもかかわらず、内容が理解できているという状態が理想です。
10.最低でも10回以上、できれば30回以上は繰り返し音読する
この音読練習を最低10回、できれば30回はやりましょう。
早口で30回も読んでいれば、イヤでも長文に慣れてきます!
長文を音読練習するポイントと注意点
こうやって書くと大変そうに見えますが、要するに言いたいことはひとつ。
長文の中身を確実に理解した上で、なるべく早く読めるようにするということです。
そのために、以下のポイントに注意してみてください。
ラクに読める長文問題を選ぶ
長文の音読をスムーズにやるためには、以下のような長文問題を使うのがオススメです。
- なるべく長文の解説が豊富なもの
- 自分のレベルに合った難しすぎない長文
- 文の構造などを人に聞かなくても理解できるレベルのもの
あくまで音読をする目的は「目で見た情報をいかに早く脳で処理するか」の速度をあげることなので、単語や文法のレベルを上げるのはまた別です。
一気に文法まで覚えてしまおうとするより、まずは自分のレベルで音読練習をやっていきましょう。
難しすぎないものから入れば、上であげたステップの1~5を省くことができますので。
ネイティブの音声があればベスト
そして、なるべくネイティブの音声が聞ける文章を選ぶのもポイントです。
CD付きか、もしくはネットなどで音声が聞ける教材を使うようにしましょう。
その理由は、まちがった発音で音読すると逆効果になってしまうためです。
発音に自信があったり、周りにチェックしてくれる先生などがいればいいですが、自己流で「なんとなくこんな感じ?」はちょっと危険です。まちがった発音で何回も音読しまくると、まちがった発音が身についてしまいます。
単語ひとつにも、発音のあやしいものは必ず辞書を使って、音声を聞いてみてください。
ネイティブ音声を聞くと、ついでに間の取り方なども勉強になります。
主語をどこで切るのか、どこまでがひと固まりになっているのかなど、文章を/(スラッシュ)で区切る人がいますよね。それの音声版だと思ってください。
言葉の意味をイメージしながら音読する
そして音読練習の最大のコツは、いつも頭の中で自分がしゃべった言葉の意味を考えながらやるということです。
意味を考えるというのは、日本語訳するということではありません。
その文章から作り上げられるシチュエーションを頭の中で想像するということです。
I was eating ice cream. っていう文が出てきたら、「アイスクリームを食べていた」って考えるのではなく、アイスを食べている人間の映像を想像するわけです。
(×)I was eating ice cream. → 「アイスクリームを食べていた」
(〇)I was eating ice cream. →
最初はすごくやりづらいかもしれませんが、これに慣れてくると、だんだんと文章から意味を取るのが早くなります。
その結果、長文読解もスムーズにこなせるようになってきますよ!
めげずにチャレンジしてみてください!
まとめ
今回は、長文読解を攻略するための音読練習を紹介しました。
長文読解の攻略にはぜひ音読という方法を使ってみてください。
音読だけのトレーニングを集中してやるのもいいですし、長文の問題を解いたあと、必ず音読するという流れをつけ足すのもいいですね。
音読がスムーズにできるようになれば、心地よく読めるようになって、長文アレルギーもなくなってくるはずです。
発音練習もかねて、やってみてくださいね!