日本ではクリスマスは「楽しいイベント」といった感じで親しまれていますが、世界のクリスマス、特にアメリカやイギリスなどの英語圏でのクリスマスは「特別な祝日」です。
日本で言えば、お正月のような盛り上がりを見せる日です。
そんなクリスマスの日に、アメリカやイギリスではどんな食べ物や飲み物をおともに過ごすのでしょうか。
日本では、チキンやクリスマスケーキが定番となっていますが、英語圏の国では実はまったく違うものがクリスマスに食べられます。
今回は、アメリカやイギリスなど英語圏の国でクリスマスに食べる定番のごちそうを、18個厳選してみました!
英語圏のクリスマスで定番なごちそう(メイン料理)
まずは、クリスマスに食べるメイン料理(main dish)を見ていきましょう。
日本では「チキン」が圧倒的に人気ですが、英語圏の国では少し違いそうです。
Roast turkey (ローストターキー)
「roast turkey」 は、シチメンチョウ(turkey)を丸ごとオーブンで焼いた料理です。
食べるときは、 gravy sauce(グレービーソース:肉汁からできたソース)やcranberry sauce(クランベリーソース)をかけるのが定番です。
roast turkey は、特にイギリスでは伝統のクリスマス料理で、なんと1000万羽ものシチメンチョウがクリスマスに消費されるそうです。
イギリスの伝統では、12月25日には家族や親戚がたくさん集まり、ディナーのメイン料理にみんなでroast turkeyを食べます。
そんな時、大きなturkeyを切り分けるのはその一家の主人の役目だそうですよ。
Roast beef (ローストビーフ)
牛肉のかたまりをオーブンで焼いた料理、「roast beef」は、特にアメリカで人気のクリスマスフードです。
アメリカでは、クリスマスにはroast turkeyよりもroast beefを食べる人のほうが多いのだとか。
これはなぜかというと、11月末にあるアメリカの祝日、Thanksgiving day(サンクスギビングデー)にroast turkeyを食べる習慣があるからだそうです。
なので、Thanksgiving dayから1ヶ月ほどしか離れていないクリスマスには、roast turkeyとは少し違うものを食べるということですね。
Ham (ハム)
「ハム」と言うと、日本ではサラダとかサンドイッチに入ってるスライスハムをイメージしてしまいそうなので、わざわざクリスマスにハムを食べるっていうのはちょっと意外かもしれません。
でも、英語で「ham」と言えば、本来は豚肉のかたまりをローストしたものを表します。
そんなhamは、クリスマスのような特別な日には、豪華な食事としてかたまりのまま出されます。
それを少しずつスライスして、サイドメニューの野菜なんかと一緒に食べるのが習慣なのです。
定番は「gammon」という豚の前足の部位を使ったhamで、周りにハチミツとワイン、酢を混ぜたものを塗り、クローブなどのスパイスで風味を出したものが多いです。
このように調理されたhamのことを「honey glazed ham」といい、イギリスや他のヨーロッパ圏の国、アメリカなどでは昔からとても人気のごちそうです。
Nut roast(ナッツロースト)
「nut roast」は、玉ねぎやにんじん、かぼちゃなどの野菜をハーブで炒めたものを、たくさんのナッツや栗、パン粉やドライフルーツなどと混ぜ合わせて型に入れ、オーブンで焼いた料理です。
あんまり日本では耳にすることがないこのnut roastですが、アメリカやイギリスではクリスマス料理の一種としてとっても好まれています。
それというのも、このnut roastはお肉や魚を使わない「ベジタリアン料理」なのです。
イギリスやアメリカではベジタリアン人口がとても多いのですが、どうしてもクリスマスのごちそうはturkeyやroast beefなどのお肉系になってしまいます。
なので、その代わりにベジタリアンはこのnut roastをメイン料理として食べるわけです。
英語圏のクリスマスで定番なごちそう(サイドメニュー)
次にクリスマスのサイドメニュー(side dish)を見ていきましょう。
これも、日本ではあんまりイメージできないものが多いかもしれません。
Stuffing(スタッフィング)
「stuffing」は「詰め物」という意味です。
クリスマスに人気のサイドメニューの一つですね。立派なごちそうのひとつです。
stuffingは、玉ねぎとパン粉をセージなどのハーブで炒め合わせて作ります。
そして、turkeyの中に詰め込んで一緒にオーブンで焼いたり、サイドディッシュとして別のお皿に出したりなど、さまざまな食べ方があるようです。
Roast potatoes(ローストポテト)
「roast potatoes」は、じゃがいもにオリーブオイルやシュマルツ(goose fat)という動物性脂肪を使った油をまぶして、オーブンで焼いた料理です。
シンプルな料理ですが、お肉料理ともよく合うということで、クリスマスのサイドメニューに欠かせないごちそうとなっています。
イギリスの大手スーパーマーケットが行なったアンケートでは、roast potatoesは、roast turkeyを差し置いてクリスマスの人気フード1位となったそうですよ。
Parsnip(パースニップ)
「parsnip」というのは、にんじんが白くなったような見た目をした根菜の名前です。
味もにんじんに似ていますが、火を通すとにんじんよりも甘くなるという特徴があります。
このparsnipという野菜は秋から冬にかけて収穫され、特にイギリスでクリスマスの定番サイドメニューとなっています。
ゆでたものを潰してマッシュにしたりなど、いろんな食べ方がありますが、クリスマスにはオーブンで焼いた「roast parsnips」が一番人気です。
Brussels sprout(芽キャベツ)
「Brussels sprout」は、日本では「芽キャベツ」と呼ばれる野菜で、キャベツがそのまま小さくなったような見た目をしています。
このBrussels sproutも秋から冬にかけてが旬の野菜で、ヨーロッパやアメリカでは昔からクリスマスお決まりの野菜です。
Brussels sproutは、ベーコンなどと一緒にオーブンでローストされたりしてテーブルに並ぶことが多いようです。
英語圏のクリスマスで定番なデザート、お菓子
日本ではクリスマスケーキを食べるのが人気ですが、英語圏の国のクリスマスのデザートはどんなものなのでしょうか。
ここでも日本ではあんまり知られていないものに出会えそうです。
Christmas pudding (クリスマスプディング)
「Christmas pudding」はイギリスの伝統的なクリスマスのデザートです。
たくさんのドライフルーツを卵で固めて甘味をつけ、シナモンやナツメグなどのスパイスで風味づけした後、最低でも1ヶ月は熟成させて作るそうです。
今では、Christmas puddingはそのまま箱に入ってスーパーでも売ってますが、伝統的な家庭では、何ヶ月も前からChristmas puddingの仕込みをしているようです。
ちなみに、Christmas puddingを食べる伝統はとても古く、17世紀から続いているそうですよ。
Mince pie(ミンスパイ)
「mince pie」は特にイギリスでよく食べられる、クリスマスシーズン伝統のお菓子です。
mincemeat(ミンスミート)という、ドライフルーツとアーモンドパウダー、スパイス、砂糖とバターなどを混ぜ合わせて作ったものを詰めて焼いたパイのようなものです。
一口サイズのものが多くて、クリスマスの当日だけではなく「クリスマス当日を楽しみに待ちながら食べる」感覚のお菓子となっています。
Pumpkin pie (パンプキンパイ)
「pumpkin pie」はアメリカで定番のクリスマスデザートです。
パイ生地の上に、潰してピューレ状になったかぼちゃとシナモンやジンジャーなどのスパイスが混ざったものを乗せて焼いたお菓子です。
ちなみにアメリカでは、pumpkin pieを作るためのスパイスは「pumpkin pie spice」という名前で売られています。
英語でかぼちゃのことを「pumpkin」と言いますが、このpumpkinはアメリカでは大昔(紀元前5000年くらい)から栽培されていたようで、とっても愛されている食べ物です。
アメリカでは特別なThanksgiving day、そしてクリスマスに食べる定番のデザートとなっています。
Gingerbread(ジンジャーブレッド)
「gingerbread」は、最近では日本でもカフェのメニューになっていたりして、よく耳にしますよね。
英語でgingerbreadと言うと、大まかに「ジンジャーやシナモンなどのスパイスとハチミツや砂糖などを混ぜた生地を焼いたもの」のことを指します。
なので、gingerbreadというのは、柔らかいケーキの形をしていたり、クッキーやビスケットのように硬かったりと、いろいろなものがあります。
クリスマスには、このgingerbreadを使っていろんなお菓子を作るのがイギリスやアメリカでの定番です。
特に人気なのは、「gingerbread house」といって、gingerbreadをビスケット状にしたものを組み合わせて家の形を作り、デコレーションをするものです。
日本では「お菓子の家」と言われたりしますね。
クリスマスでは、特に子どものいる家庭で、一緒に家族でgingerbread houseを作って楽しんだりします。
このgingerbread house以外にも「gingerbread man」という人間の形をしたビスケットも、クリスマスの定番です。
Pavlova (パブロヴァ)
「pavlova」は、メレンゲ菓子の上に、ホイップクリームやフルーツをトッピングして作られるお菓子で、オーストラリアやニュージーランドで人気のクリスマスデザートです。
ヨーロッパやアメリカ、日本とは違い、オーストラリアやニュージーランドは南半球にある国なので、クリスマスは夏の暑い季節にやってきます。
そんな暑い中では、パイなどのこってりしたデザートよりも、メレンゲでできているpavlovaのような軽めのデザートのほうが好まれるのです。
Yule log (ブッシュドノエル)
「yule log」は、棒状に焼いたスポンジケーキにチョコレートやコーヒークリームを塗って、薪(まき)のような見た目にしたケーキのことです。
日本でも「ブッシュドノエル」と呼ばれて親しまれているケーキのことですね。
このyule logは「クリスマスに焚く薪」という意味があります(これをフランス語で表したものが「ブッシュドノエル(bûche de Noël )」です)。
カナダやアメリカ、イギリスやヨーロッパの国で人気のあるデザートです。
Candy cane(キャンディーケーン)
「candy cane」は、白いステッキの形をしたペパーミント味の飴に、赤のストライプ模様がついたお菓子です。
よくクリスマスツリーにデコレーションされることが多いお菓子で、日本でもよく見かけますよね。
candy caneは、アメリカやカナダで、特に子供に大人気のクリスマススイーツです。
英語圏のクリスマスで定番な飲み物
クリスマスは、ごちそうに合わせる飲み物も大事ですよね。
ここからは、特に興味深い英語圏のクリスマスドリンクを紹介します。
Mulled wine(ホットワイン)
「mulled wine」は、赤ワインを、「mulling spice」というシナモン、ナツメグ、クローブなどを合わせたスパイスやレーズンで味付けしたアルコールドリンクです。
mulled wineは普通、温めて飲むことが多いドリンクです。
日本では「ホットワイン」「グリューワイン」として知られています(ちなみに「ホットワイン」は和製英語、「グリューワイン」はGlühweinというドイツ語です)。
mulled wineはイギリスをはじめ、ヨーロッパ中で開催される「クリスマスマーケット」の大人気ドリンクです。
Wassail(ワセイル)
「wassail」は、シードル(りんご酒、英語で「cider」と言う)を、上のmulled wineのところで紹介した「mulling spice」で味付けしたドリンクのことです。
この「wassail」という名前は、「wassailing」という、中世イングランドのクリスマスをお祝いする宴を表す言葉からきているそうです。
その時代は、クリスマスをお祝いするためにこのシードルドリンクで乾杯し、そのときの乾杯の発声が「Wassail!」だったそうです。
今となっては、wassailはイギリスでのクリスマスの人気ドリンクの1つとなっています。
Eggnog(エッグノッグ)
「eggnog」はミルク、クリーム、砂糖、卵を混ぜ合わせてできたドリンクのことです。
場合によっては、ブランデーやラム酒、ウィスキーなどのアルコール飲料も入ることもあるようです。
アメリカやカナダ、オーストラリアでの定番クリスマスドリンクで、普通は冷たい状態で飲むようですが、寒いときには温めて飲むこともあるようです。
まとめ
この記事では、アメリカやイギリスなど、英語圏の国でクリスマスにどんなごちそうを楽しむのか、リストアップして紹介しました。
中には「全然知らなかった!」というものもあったかもしれませんね。
でも、この中には日本で手に入る材料で作れたりするものもあるので、気になったものがあれば、次のクリスマスに取り入れてみてはいかがでしょうか。
いつもとはちょっと違ったクリスマスを楽しんだり、英語圏の文化を楽しみながら知れたりする、いいきっかけになるかもしれません。