「映画を観る」というとても単純なフレーズ、あなたなら英語でなんと表現するでしょうか?
「観る」という単語でパッと思いつくのは「watch」かもしれませんが、実際ネイティブの人たちの会話を聞いていると「see a movie」という言い方もよく聞きます。
はたして、「see a movie」と言ったほうがいいのか、「watch a movie」と言ったほうがいいのか、どっちがいいのでしょうか。
正解は、「どちらもOK」です。
ただ、もちろん「watch」を使うか「see」を使うかで少しだけ意味の違いが出てきます。
今回は、「watch a movie」と「see a movie」の意味の違いを解説していきます。
動詞「see 」と「watch」の基本的な違いは?
まずは2つの動詞「see」と「watch」の基本的な意味の確認をしてみましょう。
「see」は「見る、見える」という意味の単語です。
ちらっと目に入ったりしたときや、ものや場面を見たりするときなど、幅広い場面で「see」を使うことができます。
I saw a cat crossing the street.
「猫が道路をわたっているのを見ました」
If you see something, say something.
「何か見かけたら、何でも言ってください」
ただ、「see」の場合は、「長い時間、集中して見ている」という意味までは表すことができません。
その場合は「watch」を使います。
「watch」は「じっと見る」という意味の動詞で、長い間、注意を向けてしっかりと見るときに使えます。
例えば、以下のような文です。
I watched a soccer game on TV.
「テレビでサッカーの試合を観戦しました」
このように、「試合を長い間集中して観る」という意味で「watch」を使います。
「映画を観る」というときの「see」と「watch」の使い分け
「see a movie」の意味
「see」と「watch」の違いを見ていくと、
- 「映画は長い間観ているものだから、watchを使うほうがいいのかな?」
と思うかもしれません。
しかし、実際には「see a movie」と言えてしまいます。
というよりも、状況によっては「see a movie」と言ったほうが自然なときがあります。
それはどういうときかという「映画館に行って映画を観るとき」です。
「see」の基本的な意味は「見る、見かける」というものですが、動詞というのは基本的な意味以外にもたくさんの用法があります。
「see」にも「見る」以外にいろいろな意味があります。例えば、「I see.」(わかった)など、「see」で「わかる」という意味にもなりますね。
実は「see a movie」という表現の「see」は、基本的な意味の「見る」ではなく、
- 劇場で観る
という意味に変わります。
要するに、「劇場に足を運ぶ+観る」というように、2つの意味をあわせて「see」といえてしまうのです。
例えば、「I’m going to see a movie tomorrow.」と言った場合、「映画館」という単語は入っていませんが、聞き手は「明日、この人は映画館に映画を観に行くんだな」ということが想像できるわけですね。
もちろん、このケースは映画館だけでなく、劇場で芝居を見たりする場合にも当てはまります。
劇場で芝居を観るときは、
- see a play
というのが自然な言い方です。
「watch a movie」の意味
では、「watch a movie」を使うのはどんなときでしょうか。
それは、「映画を観るという行動だけに焦点を当てたいとき」です。
こう表現すると少しわかりにくいですが、簡単な例は、家でDVDやテレビ放映、オンラインなどで映画を観るときです。この場合、「映画館に行く」という行為はともないませんよね。
「I watched a movie yesterday.」と言うと、「この人は昨日、テレビか何かで映画を観たんだな」ということが想像できます。
あくまでも焦点が当たっているのは「映画を観る」という行為そのもので、その映画を写す媒体がテレビであろうとパソコンであろうと、そんなに意味は変わりません。
「テレビで観た」「オンラインで観た」ということを強調したい場合は、
- I watched a movie on TV.
- I watched a movie online.
などと言えばOKです。
では、「映画館で映画を観るときにwatchは使わないのか」と考えると、そうとは言い切れません。
「watch」を使うのは「映画館に行くという行為を省くとき」。つまり、映画館に行くということは説明しなくてもいいときです。
例えば、映画館に行って、座席に座って、映画が始まったとします。この始まった映画を観ていることだけに焦点を当てたい場合は「watch a movie」と言うことができます。
実際、上映中に人と話すなんてことはマナー違反になってしまうので、映画館でこのフレーズを使うことはないと思いますが、例えば映画を観ている最中に自分のしていることを心の中でしゃべるなら、「I’m watching a movie now.」ということになります。
以下のような例文も考えられます。
A man sitting next to me suddenly got up and went outside while I was watching the movie.
「映画を観ている最中に、隣に座っていた男性が突然立ち上がって出て行った」
このように、「映画館で映画を観ている」という前提が成り立っていて、観ている最中に起こったことなどを説明するときには、「watch」を使うのはきわめて自然です。
それとは逆になりますが、家で映画を観た場合も、「なんとなくテレビをつけたらやっていた」という感覚であれば「I saw a movie on TV yesterday.」と言っても大丈夫なのです。
「映画を観る」の他の言い方
「see a movie」「watch a movie」以外にも、「映画を観る」というような意味で使える表現があるので、少しだけ紹介します。
- go to the movies
「go to the movies」で「映画を観に行く」という意味になります。
「the」をつけることと「movies」と複数形にするのがポイントです。
I love going to the movies.
「映画を観に行くのが大好きです」
というように、趣味を説明したりするときにも使えます。
- go to the cinema
「go to the cinema」は、イギリスでよく使われる表現です。
アメリカでは映画館のことを「movie theater」ということが多いですが、イギリスでは「cinema」のほうがよく使われます。
I’m going to the cinema tonight.
「今晩、映画を観に行く予定だよ」
このような使い方ができます。
まとめ
この記事では、「see a movie」と「watch a movie」の意味の違いについて説明しました。
簡単にまとめると、
- 「see a movie」は「映画館で映画を観る」
- 「watch a movie」は「(家などで)映画を観る」
という意味になるということです。
ただ、もちろん映画館で映画を観る場合も「watch」を使う場合もありますし、逆に家でもなんとなく見ていたという場合は「see」を使っても大丈夫です。
それに今の時代、映画もどんどんオンラインの配信サービスが普及していて、映画館で映画を観なくても十分家で映画を楽しめる時代です。
そのためか、特にアメリカでは「watch a movie」「see a movie」という使い分けもそこまで気にせず使っている人も多いようです。
どちらを使っても「通じない」とか「間違っている」ということにはならないので、神経質になりすぎなくても大丈夫です。
ここで紹介した意味の違いはなんとなく押さえつつ、会話を楽しんでくださいね。
※当記事の英語音声は音読さんを使用しています。